手順

本コンテンツでは、経鼻胃管:カテーテルと省略しています。
1.カテーテルを挿入する。
※手順の詳細は、「経鼻的胃管挿入」(カテゴリー:症状・生体機能管理技術)を参照
2.必要物品を準備する。[詳細][注意] 細菌の繁増殖を予防するため、バッグ、接続、およびチューブを含めた経腸栄養システムに汚染がないことを確認する1,2)
3.患者本人であることを確認する。施設の基準に従い複数の患者識別法を用いて行う。[詳細][理由] JCI(Joint Commission International)では国際基準として2種類の患者識別法を用いた確認方法を推奨している3)
4.経腸栄養の目的を説明し、同意を得る。[詳細][理由] 手順を説明することで患者の不安を軽減する。
5.患者に排泄の有無を確認する。
6.患者の体位を整える。座位、30~45度の上半身挙上が推奨されている4,5,12)[詳細][理由] 経腸栄養剤の胃から食道への逆流、気管への流出・誤嚥を予防する。
7.手指衛生を行い、使い捨て手袋を装着する。[詳細][理由] 微生物の伝播を予防する。
8.医師の指示を確認し、経腸栄養剤が室温であることを確認する。[詳細][注意] 胃管挿入後の初回投与は、日中に水(50100ml程度)を投与する、との提言が出ている。また、その際には、誤挿入の早期発見のため呼吸状態の変化やSpO2の低下などを観察する14)
9.経腸栄養剤がオープンシステムの場合は、経腸栄養剤を入れる容器(栄養ボトルなど)に移し、クローズドシステムの場合は栄養チューブを接続する(図3)。[詳細][注意] 製品によって希釈可のものと不可のものがあるため、添付文書を確認する。希釈する場合は、菌の混入を防ぐため、衛生的な水を使用する(白湯など)6)
[注意] 調製する必要がある経腸栄養剤は、投与直前に調製する。また、経腸栄養剤を調製後、投与までに時間がある場合は冷蔵庫内に保存する4)
[注意] 細菌の繁殖を防ぐため、経腸栄養剤を開封後は長時間放置しない。クローズドシステム以外の経腸栄養剤は、粉末製剤の場合は4時間、それ以外は開封後8時間以内に投与を終了させる47)また、注ぎ足しをしない4)。クローズドシステムの投与時間は製品の添付文書を参照する7)。缶の経腸栄養剤の場合、開ける前にプルトップ周囲を消毒用アルコール綿で清拭する2)
[注意] 誤接続防止のための新規格製品の販売が201912月から始まった。
詳細は、基本事項11.医療安全情報「誤接続防止コネクタの導入について(経腸栄養分野)」を参照
10.カテーテルの先端位置確認を、施設の基準に準じた複数の方法を用いて行う。[詳細][注意] 気泡音の聴取は胃内に挿入されていることを確認する確実な方法ではない8,10,14,16)
[注意] 先端位置確認は複数の方法で行う4,8,11,14,16,17)
[注意] 先端位置確認方法には、それぞれメリット・デメリットがある14)ので、事前に確認しておく。
<先端位置の確認方法例>
 胃内容物吸引14,17) 吸引内容物のpH測定8,11,14)[詳細][注意] 吸引した内容物が胃内容物であることを確認するために、pHを測定することが推奨されている。pH5.5未満(酸性)であれば胃内に挿入されている可能性が高い8,11,14)
[注意] 制酸薬を投与している患者では、pH5.5以上になる可能性も留意しなくてはならない。
[注意] 一般的に経腸栄養投与直前の胃内残量が200mL以上の場合には、誤嚥の危険性が高くなるため、経腸栄養剤の投与を中止または延期することが推奨されている4)。胃内容物が大量の場合や200mL未満であっても、嘔気などの症状がある場合は投与を行わず医師に報告する。
 CO2検知器による確認4,8,9,14)[詳細][理由] 気管への誤挿入を発見できる。
 口腔内の観察8,11)、マーキング・固定位置の確認4,8,9,11)[詳細][理由] 胃管が口腔内でとぐろを巻いている場合がある8,11)
[理由] 留置期間中にはカテーテルの体外部分の目盛りからカテーテル位置が移動していないことを確認する4,8,9,11)
 気泡音の聴取[詳細][注意]  胃に挿入されていなくても胃に挿入されているような音が聞こえるため、気泡音の確認を位置確認の確定判断基準にしない8,10,14,16)
11.栄養チューブの先端まで経腸栄養剤を満たし、カテーテルに接続する。
12.クレンメを開けて、指示された投与速度で開始する(図5)。必要時、経腸栄養ポンプを使用する(図6)。[詳細][注意] 経腸栄養ポンプを使用しない場合は滴下数が適当か目視確認する。経腸栄養ポンプを使用する場合は流量の設定が正しいか確認する。また、カテーテル自体の閉塞や異常がないか、自然滴下の状態を確認してから投与を開始する。
[注意] チューブが閉塞した場合は、大きい注入器で適量の微温湯をゆっくり力をかけずにフラッシュする。強い圧をかけたり、スタイレットやガイドワイヤーを使用して詰まりを解消したりしない13)
[注意] 輸液用ポンプを使用してはならない。
13.投与中は消化器症状や呼吸状態、接続部やカテーテルの固定、体位、適切に投与されているかに注意して観察する。[詳細][注意] 自力で体位を整えられない場合は、時間とともに体位が崩れないように定期的に訪室し調整する。
14.与薬の指示がある場合、薬剤をカテーテルから注入する。
 a.医師の指示書で、日付、氏名、薬剤名、与薬量(1回量、1日量)、与薬方法、与薬時間、与薬目的を確認する。
※手順の詳細は、「経口与薬」(カテゴリー基礎:与薬の技術)を参照[詳細][理由] 患者の病態と薬剤・投与目的・投与量などを考え、医薬品の使用に関して疑義がある場合は医師に問い合わせを行い、必ず疑義が解消してから投与する15)
 b.薬剤を微温湯に溶かしてカテーテルチップシリンジに吸い上げる。[詳細][注意] 薬剤によっては微温湯に溶けないものや、カテーテルを閉塞させてしまうものがあるため、医師や薬剤師に確認する。
 c.カテーテルチップシリンジの内容が分かるようにラベルを貼り、空薬袋も与薬終了まで保存するなど各施設の基準に従う。[詳細][理由] 誤薬のリスクを減少させる。
[注意] カテーテルチップシリンジへは患者名を記載するなどし、薬剤調製後は他患者のものと混同しないようにする。
 d.患者本人であることを確認する。施設の基準に従い複数の患者識別法を用いて行う。[詳細][理由] JCIでは国際基準として2種類の患者識別法を用いた確認方法を推奨している3)
 e.指示書を再度確認し、準備した薬剤をカテーテルから注入する。[詳細][理由] 誤認・誤薬が起こる可能性があるため、指差し・声出し確認を行う。
[注意] 経腸栄養途中で薬剤を投与する場合には、薬剤投与前にも白湯を注入する。このことによって、閉塞の有無を確認するとともに、栄養剤と薬剤との相性でチューブ内に凝固などが生じることを防ぐ。
 f.薬剤の注入終了後、微温湯を20~30mL注入する4)[詳細][理由] チューブ内の栄養剤残留による腐敗や閉塞を防ぐ。
15.栄養チューブまたはカテーテルチップシリンジをカテーテルから外し、カテーテルにキャップをする。カテーテルは丸めてガーゼなどで覆い、寝衣に固定する。[詳細][注意] カテーテルを10倍希釈食酢(酢水)で充填する方法は、カテーテルの閉塞のみならず汚染の予防にも有効とされ広く用いられている4)
16.投与後30~60分は、座位、または30~45度の上半身挙上を保つ5,12)[詳細][理由] 経腸栄養剤の逆流を防ぎ、胃から十二指腸への流出をスムーズにする。
17.栄養ボトルはよく洗浄し、十分に乾燥させる。使用した物品を適切な方法で片付ける。[詳細][理由] 栄養ボトルに付着した経腸栄養剤が腐敗し細菌が繁殖することを防ぐ。
[注意] ASPEN (American Society for Parenteral and Enteral Nutrition)では、細菌の繁殖を防ぐためにオープンシステムの場合4~8時間ごと、クローズドシステムの場合は製品の添付文書に従い、物品を交換し、単回使用とすることを推奨している7)
18.使い捨て手袋を外し、手指衛生を行う。[詳細][理由] 微生物の伝播を予防する。
19.処置の内容と結果をカルテに記録する。


必要物品

カテーテル(X線不透過タイプ)
カテーテルチップシリンジ
経腸栄養剤
経腸栄養剤を入れる容器(イルリガートル・栄養ボトル ・栄養バッグなど)
栄養チューブ
輸液スタンド
使い捨て手袋
固定用テープ
ガーゼ
微温湯
 
[必要時]
経腸栄養ポンプ
薬剤
聴診器
pH試験紙

最終更新日 2019/11/18
  • 図1 解剖図:咽頭・喉頭
  • 図2 解剖図:消化器系
  • 図3 経腸栄養剤
    A:オープンシステム:経腸栄養剤を栄養ボトルやバッグへ移し、投与する方法。細菌汚染に注意しなければならない。
    B:クローズドシステム:経腸栄養剤に栄養チューブを接続し、投与する方法。空気に触れないため、細菌汚染の危険が少ない。
  • 図4 カテーテルチップシリンジ
    誤注入防止のため、注射用とは異なる先端形状(静脈ルートには接続不可能)のシリンジを使用する。
  • 図5 経鼻胃管全体図
  • 図6 経腸栄養ポンプの例
    持続投与や微量投与の場合は、経腸栄養ポンプを使用すると確実に管理することができる。
  • 図7 カテーテルチップシリンジでの注入
  • 表1 トラブル・異常時の対応